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腎臓病

慢性腎臓病の診断と治療

腎臓は、健康でも、成長期を過ぎると、徐々に老化し壊れていきます。腎臓が、70%以上壊れた状態が、慢性腎臓病です。慢性腎臓病は、早期発見早期治療で、寿命が2倍近く延びることが報告されています(下記の図)

慢性腎臓病の症状

・水を飲む量が増えた
・食欲はあるけど痩せてきた
・口臭が激しくなった

慢性腎不全の検査と治療

① 尿検査(UPC)
② 血液検査(Cre、BUN、SDMA)

確定診断後

③ Ca、IP、Kの検査
④ 血圧測定
⑤ ④で血圧が高い場合は、眼底検査

腹部エコー検査(腎臓がん等の除外)

⑥ ステージ分類(Ⅰ~Ⅳ)
⑦ ステージにあった治療法を選択

慢性腎臓病のステージ

① 犬
・慢性腎障害のステージ

慢性腎障害のステージ

・サブステージ

サブステージ

② 猫
・慢性腎障害のステージ

慢性腎障害のステージ

・サブステージ

サブステージ

(残念なことに、医療と違い、2019年現在、獣医療では統一的な測定法が無いので、数値は、検査機器によって違います)

治療法

① 食事療法(全ステージ)
慢性腎臓病は、食事療法で寿命が延びることが明らかな、数少ない慢性疾患です。図は、疾患発見から500日の時点で、通常食(対照食)は生存率20%、腎臓病食(被験食)は70%であることを示しています。
・ドライフード
・缶詰、パウチ
・流動食

食事療法(全ステージ)

② 薬
・ラプロス(猫、全ステージ)
・ACE-I等(ステージ2まで)
・リンの吸着剤(⑥)
・活性炭(薬とサプリがあるが、効果が異なる)

③ 点滴(輸液)療法(ステージ3以上)
・入院での静脈からの点滴
・通院での皮下点滴 (10分程度)
・自宅での点滴

④ 高血圧の治療
収縮期血圧が180 mmHgを超える場合は、網膜剥離による失明の危険性があり、高血圧の治療が必要。猫の20%程度は高血圧状態と言われている。

慢性腎障害のステージ
網膜はく離(眼底カメラ)
慢性腎障害のステージ
網膜はく離(エコー)

⑤ 貧血の治療
犬ではHt30%以下、猫ではHt20%以下になった場合、多臓器不全のリスクが高まるので、鉄剤の投与に加え、造血剤の注射を初回は数日連続で、その後、週に1~2回程度のペースで注射していく。

⑥ リンの是正(ステージによる目標値)
リンは、腎臓の組織に障害を与える。ステージにより努力目標を設定し、吸着剤等で治療する。

慢性腎障害のステージ

⑦ カルシウムの補正(ステージ3以上で注視)

⑧ 特殊な治療法(食道チューブの設置)
①と③を合わせた治療法。ステージが高く、食欲にむらがある場合に有用。食道にチューブを通して、チューブから流動食を与えます。チューブは、背中の皮膚から出します。普段は洋服などで、チューブの入口を保護します。

点滴

点滴治療は、脱水を補正するものです。次の3つの方法があり、それぞれメリット、デメリットがあります。初期治療では入院、継続治療では通院での皮下、自宅点滴がメインになります。

①入院点滴

メリット 最も効果的
成分を調整して対応できる
血圧のモニターも行える
デメリット 治療費が高額になる
入院中、死亡する事が有る

②皮下点滴

メリット ビタミン程度の同時投与は可能
10分程度の短時間
デメリット 週に数回の通院になる

③自宅での点滴

メリット 治療費が安く抑えられる
通院のストレスが無い
デメリット 安易な頻回処置による悪化
飼主と動物との関係が壊れる時あり(痛いことをするので)

ヒトの医療との比較

ヒトでは、血液透析、腹膜透析を行いますが、犬猫では一般的ではありません。犬猫の点滴治療の進め方は、病院の経験によるところも大きく、他院からの転院等の際に、導入に非常に苦慮します。