眼科
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外傷、角膜障害、高血圧性網膜剥離(特に腎不全の猫)、緑内障 等は、迅速な対応が必要です。難易度の高い疾患は、専門医(http://www.jscvo.jp/expert/)に紹介可能です。
出血

網膜はく離、眼内腫瘍、血液凝固障害など


外傷性の出血など
網膜の疾患
① 網膜はく離

放置すると失明。高血圧性の場合、迅速な対応で、視覚は回復。

アホウドリの翼のようなガルウイングが特徴

明るい場所でも、瞳孔が開いているのが特徴
② 進行性網膜萎縮症(PRA)
遺伝子検査と併せて診断。しかし、遺伝子検査が陽性(positive, affected)でも、かならず発症するわけではありません。陽性時の発症確率(オッズ比)は不明です。
③ 先天性の失明
猫の先天性の網膜萎縮症
水晶体の疾患
① 白内障
2018年現在、動物の白内障の進行を遅らせるエビデンスのある薬、サプリメントの報告はありません。白内障の手術は、紹介になりますが、術後の緑内障の発症が少なからず報告されています。当院では白内障に起因するぶどう膜炎の予防薬の点眼治療がメインの治療方針です。

多発する核硬化症と区別が必要


糖尿病性白内障


エコー画像
② 核硬化症
犬猫では、5~6歳で、水晶体の中心部が均一に青白くなる核硬化症が発症します。これは白内障と違い、視覚には影響しないので、治療対象外です。白内障は珍しいですが、核硬化症は、ほとんどの犬猫で見られます。

白内障と違い全体的に青白い。光が通るので、瞳孔は通常の大きさ
③ 水晶体脱臼
後方脱臼と、前方脱臼がある。前方脱臼は、眼球摘出(当院でも可能)


④ 水晶体形成不全

緑内障
眼圧が上昇し、失明する疾患。痛みや、結膜の充血等を伴う事が多い。直ちに治療を開始しないと失明する。眼圧計のある病院で、治療しましょう。


放置すると、眼が大きくなる。


角膜の疾患
角膜は、眼の一番外側の透明の膜です。外傷、慢性的な被毛の刺激、涙液量の低下で、痛み、白濁、色素沈着を起こします。外傷は直ちに治療が必要です。先天的な変性症もあります。瞬目(眼をパチパチする)がある場合、外傷が有るケースがほとんどです。



外傷の確認は、緑の色素で行います。小さな損傷が確認できます。

広範囲の外傷が認めれられます。

深い外傷の為、検査色素の沈着が濃い

色素で調べるまでもなく深い傷が確認できます。白く濁る場合もあります。

角膜に血管が伸びている。黒い色素沈着と、中央に外傷(緑の色素)がある。中央にいつも生じる場合は、大きな目で睡眠時瞼が閉じずに乾いて起こるケースも考えられる。

角膜に血管が伸びています。


パグ、シーズーに多い。


白い斑点。先天性の疾患。若い子で見られる。

眼やに、黒い色素沈着が認められる。涙液の産生低下で起こる。シーズーに多い。

左(上)の症例を治療したもの。


角膜が白く濁り、横から見ると突出する。専門医によるレーザー治療。

中高齢以降で出現。
前眼房の混濁・沈殿
前眼房は、出血で赤くなり、炎症産物が沈殿しで白くなり、脂肪様防水で均一に白くなる


涙やけ(流涙症)
涙やけは、涙液量増加(異所性まつ毛による刺激、ろう管現象)、涙液排出路異常(下眼瞼内反、鼻涙管閉塞)、マイボーム腺の機能異常によって発生する。


瞬膜(第三眼瞼)の疾患
犬猫には、人間にはない瞬膜が眼の内側に存在します。体調不良、風邪などで目立つように出てきます。チェリーアイという、瞬膜にある分泌腺が突出する疾患も有名です。

体調不良の保護猫の症例

犬の感染症時

ひどいものは手術が必要(当院でも可能)

硝子体の疾患

ヒトの飛蚊症

エコー画像
眼にできるイボ
眼のふちには、マイボーム腺という分泌腺があり、眼の表面に油分を分泌している。マイボーム腺が細菌感染して化膿して腫れたものが、ものもらい(麦粒腫、ばくりゅうしゅ)、マイボーム腺がつまって腫れたものが霰粒腫(さんりゅうしゅ)、マイボーム腺の腫瘍をマイボーム線腫という。

マイボーム腺の開口部、ブツブツしたところ


結膜部分に乳白色の皮脂の塊が確認できることがある

多くが良性の腫瘍、犬に多い

良性だが角膜に接触して、角膜の炎症を引き起こすので、早期切除が望ましい

猫の目の(縁の)イボは、悪性のものが犬(猫90%、犬30%)に比べて多い。
虹彩の疾患
高齢の犬の場合、しばしば、右眼と左眼の大きさが違って見えることがあります。虹彩の委縮が起こると、視覚には影響しませんが、光の調節がうまくいかず、そのようになることがあります。


結膜・強膜の疾患
白眼が赤くなったという飼主の表現は、一般的には強膜・結膜炎の状態です。黄疸(肝臓障害)があれば黄色になります。





いわゆる白眼が黄色になります。

腫瘍
迅速な摘出手術が必要です(当院でも可能)


眼窩下の腫れ
眼の下が腫れたというご相談がよくありますが、眼ではなく歯が原因の事が多いです。歯の根元に膿がたまり、骨を溶かして、皮膚に溜まり腫れます。

右 (下)のCT画像と同様、歯の根元の膿が原因(根尖部膿瘍)

斜視
先天性の斜視(シャム猫、内斜視)や、眼が大きく眼窩に入らないタイプの斜視(外斜視)は、治療対象外。成長後、斜視になるケースは、水頭症(チワワなど)、眼の後方の腫瘍が原因の事が多い。

先天性は生後数ヶ月ではっきりしてくる

パグ、キャバリアに多い

アレルギーによる眼の周りの浮腫
植物、虫ささされ、食べ物、ワクチン、消臭スプレーなどが原因で発生します。眼の周りや顔全体が腫れます。気管周囲が腫れると窒息死するので至急の対応が必要です。


アトピー(眼の周囲の脱毛・痒み)
アトピー性皮膚炎では、両眼の周囲の脱毛、赤み、黒い色素沈着が見られます。全身の痒みを伴います。

眼の周囲の脱毛、痒み

柴の系統は、このように黒くなることが多い
眼球振とう(眼振、がんしん)
自分の意志とは関係なく眼が動く症状球の犬の前庭疾患や、内耳の疾患に併発する。
同時に首の斜傾(ななめに傾く)が出現し、運動障害が起こることが多い。
内耳疾患に併発した眼振
運動障害により眼球に外傷がないか拡大して確認する